目次

[1]大きな力を生み出すパワーを身につける
[2]低い姿勢をなるべく長く保つ


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

「スポーツの秋」と言われるように、体を動かすには過ごしやすい日々が続いていますね。部活動の制限がある学校も少なくない中、それぞれができることを行いながら野球の練習や試合に励んでいることと思います。引き続き体調管理に気を配りながら、元気にプレーしていきましょう。さて今回は「足の速さは一つの武器」ともなりうる、野球に必要な足の速さについて考えてみたいと思います。

 野球のプレーでは比較的短い距離を速く走る能力が求められます。塁間の距離がおよそ27.3m、ランニングホームランなどを想定したベースランニング一周はおよそ110mになります。短い距離で大きなパワーを発揮するためには、自体重を支える筋力を強化することと、安定したロスの少ないランニングフォームを習得することが必要不可欠です。野球において必要な足の速さはどのように培われるのでしょうか。

大きな力を生み出すパワーを身につける


 まず必要になるのが自体重を素早く動かすために必要な筋力とスピードです。一瞬で大きな力を生み出すパワーは筋力(力)とスピードを掛けあわせることで大きくなります。筋肉をつけると体が重くなると感じる選手がいるかもしれませんが、筋肉が動作の土台を支えているため、重くなった体を動かすだけに必要な筋力を養うことが求められます。筋力の低い状態では大きな出力は見込めず、体は軽く感じるけどスピードアップにはつながりにくいと言えるでしょう。

 筋力を強化するとともに取り組みたいのがスピード強化です。同じ負荷を扱ってトレーニングをする際に、スピードを意識して行うことも必要となってきます。まず基本的な筋力を向上させた上で、このようなスピードを重視したトレーニングも行っていくようにしましょう。

「回転数」×「歩幅」を意識する


 次にランニングフォームについて考えてみましょう。

 速く走るためには足の回転数を増やすことと、一歩の歩幅(ストライド)を伸ばすことが必要であり、これを掛けあわせていくことでより速く走ることができます。足の回転を多くするためにはなるべくロスの少ない動きをすることが求められますが、地面を後方に蹴って走ってしまうと「力感はあるのにスピードがでない」といったことが起こります。足の回転数を上げるためには、空き缶をつぶすように地面を踏んでその足をすばやく上げるようにすること。腿が挙がった状態から地面に足を接地するときに地面の反力を体に伝えていくことが大切です。足を後方に蹴ってしまう走り方はより大きな弧を描くことになり、その分時間がかかって回転数は減ってしまいます。

 歩幅を広げるための意識として、足を前方に投げ出すようにして踵から着地する動作を続けていると、太もも裏側のハムストリングスなどを傷めてしまいがちです。どちらかといえば重心の真下に足が接地するようにして、股関節の柔軟性を高めながら歩幅を伸ばしていくようにしましょう。